先日、近所にお住まいの方(初めてのご縁です)から、切実なご連絡をいただきました。
「2階の窓から下を見たら、瓦がとんでもないことになっている。すぐに見に来てほしい
すぐに駆けつけると、そこには雪国特有の、そして非常に深刻な光景が広がっていました。
被害を受けていたのは「下屋根(げやね)」、つまり1階部分の屋根です。しかも破損した瓦は製造が終了している瓦でした。
今年は降り方や溶け方のタイミングが悪く、本屋根で水分を吸って氷の塊のようになった雪が、気温上昇とともに一気に滑り落ちました。
今年は降り方や溶け方のタイミングが悪く、本屋根で水分を吸って氷の塊のようになった雪が、気温上昇とともに一気に滑り落ちました。
数メートルの高さから落ちる雪の衝撃は、もはや鈍器と同じです。
積雪量そのものよりも、この「落雪の衝撃」が、頑丈な瓦を無残に砕いてしまったのです。
積雪量そのものよりも、この「落雪の衝撃」が、頑丈な瓦を無残に砕いてしまったのです。
今回の雪が瓦に与えたダメージ。その理由を分かりやすく整理してみました。
■ 恐怖の「スラブ雪崩」現象:なぜ今年は瓦が割れるのか
今回の雪害には、福井特有の「最悪の気象条件」が重なっていました。
- 一気に積もる: まず、短期間でドカ雪が降り、屋根に厚い層ができます。
- 気温の急上昇: その後、急に気温が上がることで、屋根と雪の接地面がわずかに溶けます。
- 氷の板(スラブ)化: 雪全体が自重で圧縮され、さらに水分を含んで冷えることで、屋根の上で「巨大な氷の板」へと変化します。
この「板状の氷」が、溶けた接地面を滑り台にして一気に滑り落ちる。これが屋根の上で起きる「スラブ雪崩」です。
単なるバラバラの雪が落ちるのとはわけが違います。
「数トンの重さがある氷の板」が、加速をつけて下屋根に叩きつけられるのです。これでは、どんなに丈夫な瓦でも、ひとたまりもありません。
「数トンの重さがある氷の板」が、加速をつけて下屋根に叩きつけられるのです。これでは、どんなに丈夫な瓦でも、ひとたまりもありません。
スラブ雪(氷の板)から家を守るための解決策
1. 「落とさない」ための雪止め強化
スラブ雪の最大の脅威は、加速がついた衝撃です。そもそも滑り出さない工夫が必要です。
- 雪止め金具の増設: 通常よりも間隔を狭く配置し、氷の板が動き出すのを食い止めます。
- 雪止めアングルの設置: 点(金具)ではなく線(アングル)で支えることで、板状になった雪をしっかりキャッチし、分割して落とす効果があります。
2. 「滑らせない」屋根材の検討
- 表面摩擦の活用: 瓦の表面が滑りやすい素材の場合、スラブ雪が発生しやすくなります。将来的な葺き替えの際は、雪が止まりやすい表面加工の瓦や屋根材を選択肢に入れます。
3. 「受け止める」下屋根の補強(修理時の工夫)
今回のように瓦が割れてしまった箇所の修理の際、ただ瓦を戻すだけでなく一工夫加えます。
- 下地(野地板)の強化: 衝撃が集中する場所に構造用合板を重ね貼りするなど、瓦が割れても屋根そのものが踏み抜かれないよう補強します。
- 緩衝材の検討: 衝撃を分散させる工法を検討し、次回の直撃に備えます。
4. 「割れてもいい」という逆転の発想
- 金属屋根(ガルバリウム鋼板など)への一部変更: 落雪が避けられない場所には、衝撃に強く割れない金属屋根への一部葺き替えを提案するのも現実的な解決策です。
まとめ:福井の屋根を守るために
今回の瓦被害の原因と対策、いかがでしたでしょうか。
「例年より積雪が少ないから大丈夫」と油断していたところに、一気に積もった雪が「氷の板(スラブ)」となって下屋根を直撃する。今回の被害は、そんな特殊な気象条件が重なった結果でした。
さらに「瓦が廃盤」という追い打ちに不安を感じている方も多いかと思いますが、決して諦める必要はありません。
- 2階の窓から、下屋根に異変がないか確認する
- 瓦が割れていたら、まずは早めの止水処置を行う
- 廃盤瓦でも、プロの知識と工夫で最善の修理方法を探る
- 火災保険の「雪災」が適用できるか確認し、写真を撮っておく
大切なのは、雨漏りが始まる前に「次の冬に備える一歩」を踏み出すことです。
地元の屋根を知り尽くした私たちだからこそ、福井の厳しい冬を乗り越えるための知恵を詰め込んで対応いたします。廃盤の瓦でお困りの方も、まずは一度お気軽にご相談ください。
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